実家に行くと、80~90年代あたりのVHFのビデオテープが段ボールに入りきらないほど山積みに保管されています。
それほどテレビ好きだった思春期だったように思います。
そんな10代のころだったか
成人したそのあたりなのか
さだかではありませんが
村上龍のトーク番組みたいのがありまして、
それに前田日明がゲストだった時にたまたまでくわしたことがありまして、
これが僕の中でちょっとショッキングだったといいますか・・・
要は村上龍が1つ質問すると、
長~い沈黙があり、
それに前田日明がようやく答えると、
これまた長~い沈黙が続くんですよ 笑。
で、それが繰り返される・・・
さすがにハタチそこらの僕でも、
あれ?これは放送事故のやつですよね?
と思ったほどでした。
ちょうど同時期だったのかなぁ、
たかじんのbarって番組に出会いまして、
これは、また村上龍の番組とは真逆で、
間がないんですよね、トークに。
たかじんがマスタア役でその横にトミーズ雅がホスト役として立っている設定。
そのbarに毎回一癖ありそうなゲストが数人やってきてトークを繰り広げる。
たまに立川談志かなんかとマジ喧嘩したりなんかすることもあったりなんかして^^、
それでも、それもひっくるめて
とても刺激的で、かつ非現実な贅沢なひと時だったのを覚えています。
きっと二度とやってこない、ある夜のソノひと時に、
濃い~面子が集まって、ひそひそ、あーだこーだ言いながら
ひっそりと盛り上がっている。
あれは、当時僕の中でたまらない衝撃でした。
さて、
それから10年ほどの月日が経ったころ、
僕はサンボのカウンターに立っておりまして、
世間の方々が寝静まる時間帯に、
明日の予定もないような、
そして、学も《ほどよく》無いような、
風変わりな常連さん達と、
なんの生産性もないようなくだらない話で
ケラケラわらいながらも、
でも なんだか暗黙の了解で
そこにいるみんなが
会話の着地点を、
なるべく顔に出さないようにクールを装いながら(笑)模索し、探しているわけですよ^^
そうやって皆で模索しながら会話を構成していくみたいな感じがたまんなく楽しかったんですね。
で、ある瞬間、
あれ?これってたかじんのbarの雰囲気・空気感のやつだよな!?
と気づいたんですね。
やはりめちゃめちゃ影響されとったんですよ、あの番組に。
「村上龍の番組に影響されてサンボ始めました・・・」といいたいところだけども
これ完全にたかじんなわけですよ。
きっとアレを見ていたから、
このとてつもなく怪しい風変わりな人たちと「風変わりな時間と空間」を共有できたんだろうな、と後々思ったりしたことでしたけど、
2018年、ここにきて
今 振り返ると、
ふと思うことがあるんですよね。
2013年に
サンボを休業した、ちょーどそのあたりから世の中は一気にスマホやSNSが普及したんですね。
もう今では当たり前になっているわけですけど、
当時スマホやSNSしてた人は
それこそまぁ~アンテナびんびんに張っている人ぐらいだったんじゃないかな、、、
などと思い返してみたら、
まさにサンボを休業する2013年のその辺りぐらいで、
カウンター席に座っているお客さん、右から左まで全員がスマホ見ながら珈琲すすってる瞬間があったんですよね。
あの瞬間は、あら、ついにこの瞬間が来ましたね~、となって、
せっかくだから、ふいうちのように
ちょっと大きめの声で
「オォィッッ!」
と突っ込んだのを覚えています^^
時代の流れだし、全くそういったのを否定する気はないし、
むしろ新たな文化には乗っかるべきだとさえ思っているほうなんですが
ただ、サンボがはじまった当初の、
とってもワクワクするような時間を作っていた
《空気感》というのは、
「ほどよく情報が遮断されていたから」
というのがとっても大きな要因だったと思うんですね。
幼少のころに修学旅行やキャンプみたいなところに行って、
または台風の夜のような、
いわば情報をカットされた中での会話というある種、現実では味わえない、まさに非現実な空間・世界観のようなアノ独特な感覚に似ているのかなぁ・・・
なにしろ、現代の情報化社会の中では
あのワクワク感をすっかり忘れてしまっているような気がするんです。
例えば、ある一人が
「こういうことがあるらしいよ」
という《信じるか信じないかは・・・》みたいな会話を切り出すと、
じゃあ、ウキペディアで調べてみようか?
ともう一人が言い出すわけですよ。
うん、確かに答えが出てすっきりするかもしれませんが
こう、なんというか
答えなんてどうでもいい「ふわっ」とした話の魅力ってあるんですよね。
極端に言えばそれが嘘といいますか創作でもいいわけですよ。
その瞬間それぞれのニヤッとした幸せな表情が出れば、
もうそれだけで無事着地。ハイタッチ。至福な空間になるんですよね。
そういったわけで、
2018年、
気付いたらSNSやスマホが当たり前になっている世代の皆さんには、
是非、
《情報を完全遮断の集い》、
という時間の共有ってのをおすすめしたいですね。
ん?でもそうなれば、
若い世代の人たちは、
常々の情報のインプット量が半端ないから、僕らのころよりクオリティの高いトークがくりひろげられるんだろうなぁ。
あっ、それなら、もし、
その輪の中に1人でも、時の流れに頓着しないおっさんがおられたら、
会話のクオリティをワンランク下げつつ、
そのノスタルジックな佇まいをリスペクトすることが
エチケットだということを忘れずに!
合わせること、空気を読むことがまた空間楽しむコツだったりしますからね。
今、その瞬間を楽しむならなおさらに。
それでは最後に大滝詠一さんの「楽しい夜更かし 」を聴いて肩の力を抜いてハッピーになってください。おやすみなさい♪